2008年09月22日

セシル・ローズに呪縛された傭兵アーチャー【ブラッド・ダイヤモンド】



 映画の中で主役の傭兵ダニー・アーチャー役のレオナルド・ディカプリオと、ジャーナリストのジェニファー・コネリー演ずるマディー・ボウエンシエラレオネフリータウンで出会うシーンがある。ボーエンがアーチャーに出身地を聞くとアーチャーは

俺はローデシア出身


と答える。いまはない国で、現在はジンバブエと呼ばれている。ジンバブエは発行される貨幣が天文学的な規模でインフレーションを起こしたことで知られている。インフレ率は二二○万%だという。二○○六年八月と二○○八年八月にデノミを二回行い合計で

十兆ジンバブエドルは一ジンバブエドル

になってしまったことで話題を集めた。国民が政府が信用しなくなると、政府が発行する貨幣は紙くずになってしまうことをジンバブエは見事に証明してみせた。

 081129-06.jpg ジンバブエは、ロバート・ムガベの独裁政権が知られ「世界最悪の独裁国家」と呼ばれているが、北朝鮮より最悪の独裁国家らしい。いずれの独裁国家も中国が肩入れしているのが共通点か。

 白人国家ローデシアは南北に分割され、北ローデシアはザンビアに、南ローデシアはジンバブエとなった。国名が変わるまで圧制された黒人がゲリラ化して白人を襲った。アーチャーの家族もそのときの被害者なのであろう。ローデシアという地名は、セシル・ジョン・ローズがこの地方の鉱山を開発したことに由来している。

 ダイアモンドは旧い地層にある。だいたい二十億年程度前の先カンブリア時代の地層に含まれている。古い地層の一部がポッカリと割れて、地下約二百キロメートルから地上までマグマが吹き出すことがある。吹き出したマグマは急速に冷えて、カンラン石や雲母になる。これをキンバーライト(キンバリー岩)という。

 マントルが吹き出してキンバーライトになるとき、地中深くにあるダイアモンドを連れてくる。ダイアモンドは地中深くマントルに近いところにある炭素が高圧で結晶化したもの。地下深くでなければ、ダイアモンドは生成されないのである。天然ダイアモンドはキンバーライトが吹き上げたときに地下から運んだものしかないのである。

 アフリカにはキンバーライトを含む古い地層(剛塊)が三カ所ある。それらの地層でキンバーライトが見つかると、ダイアモンド鉱山になる。すべてのキンバーライトがダイアモンドを含んでいるわけではないが、キンバーライトがなければダイヤは産出しない。南アフリカではカラハリ砂漠あたり(カラハリ剛塊)に古い地層があり、キンバーライトが露出しているのだ。コンゴのあたり(コンゴ剛塊)やシエラレオネのあたり(西アフリカ剛塊)にも同じように古い地層がある。

 『ブラッド・ダイアモンド』では、ジャイモン・フンスーが配役されたメンデ人漁師ソロモン・バンディーが川でダイアモンドを露天掘りしているシーンがある(ジャイモン・フンスーはベナン出身だが、『アミスタッド』に続いて二度目のメンデ人役だった)。これは地上に露出したキンバーライトが風化して雨に流され、キンバーライトの中にあるダイアモンドが川底にたまるからである。南アフリカで最初に見つかったダイヤモンドも川から見つかっている。川でみつかったダイアはすぐに掘り尽くされた。

 川ではない地層を最初に掘り起こしてダイヤを見つけたのが、デ・ビアスという農夫である。彼はダイアが見つかった地域の岩を砕いて、その中からダイアモンドを見つけた。その権利を買い取って採掘会社を創立したのがセシル・ジョン・ローズである。現在南アフリカのダイヤモンド鉱山には、キンバーライトを地下三千メートルまで掘り進んだものもある。もちろん、バン・デ・カープのモデルはデビアスである。

 この映画はローデシア出身の傭兵アーチャーが、セシル・ローズの呪縛から解放されるまでの物語でもある。






 
posted by jin-k at 21:33 | Comment(0) | TrackBack(1) | アフリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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