2009年05月24日

【トランスフォーマー】過激映像はパート2でさらにヒートアップするか



090524-01.jpg 『トランスフォーマー』はなんといっても映像がすごい。「すごい」などという安易な言葉は使いたくないが、主人公をはじめとしてすべりまくっている登場人物の設定や、味方のトランスフォーマー、オートボットオプティマス・プライム」の陳腐なセリフを払いのけるだけのリアルな映像と、観客に考える暇を与えないスピード感のあるストーリー展開は、これこそが映画の醍醐味ではないかと思わせるものがある。

 映画は、まず、カタールの米軍基地から始まる。カタールはアラビア半島の東部にある。東部といより、アラビア半島の北岸の真ん中あたりだ。首都ドーハの方が日本人にはよく知られているだろう。カタールには、アル・ウディード航空基地がおかれている。航空基地だが、空軍専用の基地ではない。中東最大規模の米軍拠点だそうだ。

 CV-22オスプレイ(オスプレイ=ミサゴ)という輸送用ヘリコプターで兵士が基地に帰還する。兵士は陸軍の兵士なのに、CV-22は空軍のモデル(陸軍ではV-22という)だったりするのはご愛敬ということで。撮影に使用したニューメキシコのホロマン基地が空軍の基地だったので、CV-22を使ったのだろう。

 つづいて、「シコルスキー MH-53 ペイブロウ」ヘリコプターがやってくる。MH-53は汎用の軍用中型ヘリコプターだ。連絡しても返事がない。機体番号を調べると、どうやらアフガンで撃墜された機体らしい。ディセプティコンズの1人、ブラックアウトがその正体であった。

  というようなわけで、その後に映画初登場のF-22ラプターが出動する。米空軍最新鋭のステルス戦闘機だ。開発費を含めると1機当たりのコストが約1億4200万ドルになるアメリカ空軍の金食い虫だ。今のところアメリカ内の空軍基地にしか常駐配備されておらず、総数は185機(おそらく生産数は187機で、2004/12と2009/03に2機墜落して損耗)。

 日本の自衛隊はF-4ファントムに代わる次期戦闘機(FX)に

F-22ラプターが欲しい

と言ったが、イージス艦情報漏洩事件などを盾に、アメリカに

F-22ラプターは駄目よ

と言われてしまった。アメリカの本音は量産型のF-35ライトニング IIを買って欲しいということである。空母を持たない日本としては航続距離の大きいF-22ラプターが欲しいのだろうが、あまりに高価なのでラプターの増産は見送られそうで、日本は購入できそうもない。

 もちろんカタールの基地にはラプターは配備されていない。カタールにあるのは、F-15イーグルである。ホロマン基地には、ラプターは配備されているのだけどね。パンフレットには、最初のステルス戦闘機であるF-117も登場すると書かれているので、ひょっとすると、MH-53でスクランブルしたのはF-117かもしれないが、スクリーンではF-22ラプターに見えた。

 実機を使った実写にをフルに活用しつつ、ディセプティコンズが立ち回るCG映像がその上に重なっていくわけだが、そのスピード感がすばらしい。敵役のディセプティコンズと味方のオートボットの闘いは終盤に怒濤の展開が用意されているが、この最初のシーンだけでも、じわりと拳を握りしめる迫力がある。

 ただこの映画のよくできているところは、やはり編集がうまいことだ。兵士のシーン、ウィトウィッキーバンプルビー、そしてミカエラが絡むシーン、そして国防総省でのシーンなどがテンポよくつながっていて、だれることがないのだ。

 さらにいくつもの複線がうまく絡み合って、ストーリーの次の展開が読めないのだ。いや、読む暇を与えない。次はどうなると思う間もなく、予想外の展開になり、観るものをグイグイと引きつけていく。

 アクションだけでなく、コミカルなシーンがいくつも用意されている。ジョン・ボイドが演じている国防長官が、ショットガンを振り回すシーンはなかなか楽しい。さすが、ララ・クラフトのお父ちゃんだけのことはある。ウィトウィッキーの両親が登場するシーンでは笑いを忘れない。

 もちろん、トランスフォーマーのCGはすばらしい。カマロ(バンプルビーのカマロは、最初おんぼろで登場するが、2009年型のカマロモデルらしい)やコンボイ、戦車やヘリコプターに戦闘機などから、巨大ロボットに

ガシャガシャ、ガシャーン


とトランスフォームするシーンは、涙がちょちょぎれるほど圧巻だ。

 バンブルビーと出会ったシャイア・ラブーフのウィトウィッキーが

たぶん日本製だ(日本語字幕)

と言ったりするが、巨大ロボの精神は、もちろん日本にある。もっともそのセリフを聞いて、スティクスの「ミスター・ロボット」を思い出してしまった。そうか、頭脳はアメリカ製か。まあもっとも、いまではIBMではなく、ILMかもね。

トランスフォーマー

 特典のDVDを見ると特殊効果へのこだわりはすごさがよくわかる。たとえば、ボーンクラッシャーが横から体当たりして、バスを真っ二つにするシーンなどは、バスの爆破シーンを実写で撮り、それにボーンクラッシャーのCGを巧みに組み合わせるている。組み合わせたときのイメージがはっきりと見えているのだろう。CGも実写に合わせて作り込むんのだろうが、たいへんな作業だ。こんなシーンばかり続くと、圧倒されるのは当然だろう。この特典DVDはとても見応えがあり、オトクだった。ちなみに、壊した自動車は約200台に及ぶという。

 CGはリアリティを出すために、8000ピクセルの解像度で画像処理を行っているという。また、50フィート(約15メートル)のメカのスピード感を出すために、カメラに近いところでは高速に動かし、遠いところではゆっくりと動作させることで重量感を演出したという。そういうこだわりこそが、登場人物の陳腐さを凌駕し、変身可能な機械生命体という安直な設定を遥か後方に置き去りにして、一気にエンドロールまで僕たちを運んでくれるのだ。

 また、ロケで使われたのは、

ニューメキシコ  ホワイトサンズ
ニューメキシコ  ホロマン基地
ネバダ      フーバーダム
カリフォルニア  ロサンゼルスダウンタウン
バージニア    ペンタゴン


など。最後の戦闘シーンはロスだけでなくデトロイトなどでも撮影している。ほとんどアメリカ国内。アメリカ国内での撮影にこだわるのはマイケル・ベイの要望だとか。

 F-22ラプターだけでなく、アメリカ空軍の攻撃機A-10サンダーボルトIIや輸送機を改良したAC-130 ガンシップなどもけっこう見応えがあった。A-10はちゃんとセオリー通りに2機のペアでやってきて攻撃していた。スコルノボックを攻撃したA-10は実写なのだろうか。

 チョイ役で気になったのは、まず誰でもすぐに気がつくフィグ役のアマウリー・ノラスコ。「プリズンブレイク」のスクレだ。相変わらずの軽いノリ。フィグはスコルノボックの攻撃で負傷してしまう。それとセクター7上級調査部のトム・バナチエック、どこかで見た顔だと思ったら、「24」のシーズン1でウォルシュ役(CTUロサンゼルス支局長官)のマイケル・オニールだった。それと、メガトロンの声はヒューゴ・ウィーヴィング。それは気がつかなかった。最近は顔が出ない仕事が多いようだ。

 最後に、ラプターにトランスフォームしていたディセプティコンズのナンバー2、スタースクリームが大気圏外に飛び去り、続編『トランスフォーマー/リベンジ』につなげている。

 これからのCGを駆使したSFはこれ以上の質を要求されるに違いない。そういう意味では、CGの分野では、エポックメイキングな作品だといっても、言い過ぎではないだろう。まあでも、これからのアクション映画は、こういうスピード感のある展開が当たり前になりそうですな。いやはや、マイケル・ベイはすごい監督でした。


 追伸:この記事は別のブログに書いた2つの記事を合わせて書き直したものです。ユニバーサルは当初HD-DVDと専属契約しており、『トランスフォーマー』のBlu-rayは発売されませんでしたが、このたびやっとBlu-ray版がリリースされることになりました。それですこし書き直して掲載しました。





posted by jin-k at 11:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック