2013年03月22日

【プロメテウス】エイリアン前日譚は『エイリアン』の謎にどこまで迫るのか



 『プロメテウス』はエイリアンシリーズからはスピンアウトした映画で、もともと『エイリアン』の前日譚だったが、必ず同じ世界とはせずに緩やかな関係に落ち着いた。シリーズすべてと同じ時系列に無理矢理閉じ込めると展開が窮屈になるためだろう。とはいえ、完全にエイリアンシリーズとは別物語にしてしまうと観客の興味が薄れるので、含みを残したまま展開しそうである。

 おそらくリドリー・スコットは、自らが監督した『エイリアン』との整合性は保たれるようにするにしても、『エイリアン2』以降の設定は軽んじそうだ。すでにウェイランド社の創業者はビショップ・ウェイランドではなく、ピーター・ウェイランドだということになっており、ビショップの息子がピーターというわけではない。ここではエイリアンが主軸ではなく、『エイリアン』に登場したスペースジョッキー=エンジニアが探索のテーマとなっている。

 130222-01.jpg 結構ややこしいのは、遠未来の科学技術だ。遥か彼方に超光速で宇宙船を飛ばす技術をもった時代をどのように設定するのかということがある。『エイリアン』はかつてフォックスジャパンによって「2087年」という時代設定がアナウンスされたが、現在となっては今世紀末に光速を超えたスピードの宇宙船が登場するとは考えにくい。人間が宇宙に行くには重力を制御する必要があり、それができれば超光速の宇宙船はあり得るだろう。

 『プロメテウス』の年代を「2093年」とすることで、リドリー・スコットは『エイリアン』の年代を「2122年」に設定し直したそうで、ここではノストロモ号事件はプロメテウス号事件の約30年後ということになる。当初のまま「2087年」であれば、『プロメテウス』と『エイリアン』は何らかの直接的な関係を持ったに違いない。

 『エイリアン』の舞台となったLV-426はレチクル座ゼータ第2星とされている。地球からの距離は約39光年で、それほど遠くはない。映画の中ではその位置は明記されていない。地球から39光年くらいで銀河系の外縁と呼ぶのは無理があり、その頃の地球の宇宙船が航行する端という意味程度だろう。

 それでは『プロメテウス』の舞台となったLV-223は地球からどのくらい離れているのだろうか。劇中でヴィッカーズは船長のジャネクと会話するシーンで

8億キロ

という。ここではヴィッカーズは「half a billion mails」と述べていて、16億キロ(10億マイル)の半分をそのまま訳しているにすぎない。「a billion mails」だと何光年も離れた恒星までの距離にはまったく不十分。billionは複数形にすると、膨大とか莫大とかいう意味があるので、世界の果てのその半分までやってきたという程度の意味だろう。

130222-02.jpg LV-223までの距離は映画の冒頭に記載されていた。プロメテウス号が紹介されるシーンで

地球からの距離:3.27×10の14乗キロ

と書かれている(2093年12月21日の時点)。星間距離をキロメートルで表示しているのは、一般の観客にその距離を意識させないための韜晦だろう。「3.27×10の14乗キロ」ではどのくらいの位置なのかまったくわからない。最初にホロウェイのプレゼンでも単なる恒星系なのに銀河系(Galaxy)と呼んでいたりして紛らわしい。

 ちなみに1光年は9.46×10の12乗キロメートルなので、わかりやすく言うと1光年は10の13乗キロメートルだと思えばよい。したがって、プロメテウス号の目的地は約32.7光年、正確には34.5光年という位置になる。方向はわからないにしても、LV-426のレチクル座ゼータ第2星と同じような距離にある。プロメテウス号は34.5光年を約2年4ヶ月で飛んだ訳である。もっともデヴィットはヴィッカーズに

2年4ヶ月と18日36時間15分です

という。この「36時間」というのはなんなんだろうか。プロメテウス号の中では一日は36時間以上あるのか。それともこれは次回作への何らかの伏線なのか。

 『プロメテウス』の中で大きな謎なのは、デヴィットはなぜホロウェイにエイリアンの卵らしきものを摂取させたのかということだろう。さらにその前にウェイランドに報告する。

私が処置します。
幸い少し未成熟でした


これはおかしい。デヴィットの発言はLV-223にエイリアンの卵らしきものがあることがわかっており、それを持ち帰ることを前提としている。そしてその卵らしきものを人間の男に摂取させて性交渉すると女が繭のようになって、赤ん坊の代わりにフェイスハガーがインプラントされることを知っていたことになる。もし成熟していればそのまま持ち帰ったが、成熟していない場合を最初から想定して、ホロウェイとショウのカップルを船に乗せたとしか考えられない。

130322-03.jpg ピーター・ウェイランドはいつ、エイリアンの存在を知ったのだろうか。ウェイランドはエンジニアが実在することを知っており、その生物兵器としてエイリアンが存在することも知っていたはずである。古代遺跡の壁画を「招待状よ」などという戯言に素直に耳を傾けるはずはない。

 続編は既にアナウンスされているが、明細はなにもわかっていない。ただピーター・ウェイランドを、なぜガイ・ピアースが演じているだろうかと考えると、このキャスティングには意味がありそうである。いずれピーター・ウェイランドがエンジニアとエイリアンの存在を知ったエピソードは必ず含まれるのではないか。

 若いウェイランドを登場させる予定がなければ、最初から年寄りの俳優に任せればよい。あえてガイ・ピアースをキャスティングしたのは理由があるに違いない。まさか「PETER WEYLAND 2023 TED TALK」のプロモーション用の映像に登場させるためだけにガイ・ピアースを選んだのだろうか。

■ 映画『プロメテウス』特別映像「PETER WEYLAND 2023 TED TALK」


 『プロメテウス』のストーリーをそのまま続けて、デヴィットとショウがエンジニアの故郷の星を訪れるだけでは映画にはなりにくい。その中で、ピーター・ウェイランドが1兆ドル賭けてLV-223に船を飛ばした本当の理由が語られるに違いない。主人を失ったデヴィットは、ショウにすべてを語るかもしれない。まあ、デヴィットがエンジニアの故郷と思った星は別の星だったというストーリーも在りかもしれない。

 さてヴィッカーズはアンドロイドなのか、それとも人間なのだろうか。演じているシャーリーズ・セロンも知らないそうだが、ウェイランドを「お父様」と呼ぶこのウェイランド社の重役は、憶測でいえばピーター自身のクローンではないか。すべての痛みを捨てて科学技術を弄び神の座に駆け上ろうとした男が、アンドロイドの開発と合わせて、自らのDNAを用いてクローンの開発を行っていても不思議ではないからだ。

 『エイリアン』ではいくつかの謎が残されたままだった。ウェイランド社(正確にはウェイランド湯谷社か)は何故エンジニアたちを捜し続けていたのかという疑問である。ノストロモ号は航路を変更してLV-426に向かい、科学担当がアンドロイドに変更されるに至った理由は何なのかという疑問である。続編で解決されることに期待したい。三部作という可能性も捨てきれないけどね。





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posted by jin-k at 20:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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