2017年04月15日

【ゲーム・オブ・スローンズ】後先を考えない王殺しのジェイミー・ラニスター



 ラニスター家の世継ぎで、サーセイの双子の弟、そしてサーセイとの近親相姦によって、ジェイミー・ラニスターはバラシオン家のジョフリー、ミアセラ、トメンの実父である。狂王エイリスはジェイミーをラニスター家の世継ぎとしての資格を剥奪するために、彼を王の盾とした。狂王エイリスの壊乱によってロバートの反乱が起こり、首都キングスランディングを火素によって灰燼にしようとしたエイリスを後ろから刺したことで「王殺し(キングスレイヤー)」の汚名を浴びることになった。ジェイミー・ラニスターはニコライ・コスター=ワルドーが演じている。


 原作でのジェイミー・ラニスターについての描写をもう一度、ジョン・スノウの視点から引用してみよう。

背が高く
金髪で
きらめく緑の目をして
その笑みはナイフの刃のように鋭い

という。ジェイミーの笑みに危険を感じたのは、ジョン・スノウの感想だが、七王国で実権を握るラニスター家の貴公子は思いやりのない酷薄な人物に感じられたのかもしれない。弟のティリオン・ラニスターも片目は緑色なので、緑の目はラニスター家の遺伝なのかもしれない。ちなみにサーセイも緑の瞳である。

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 ジェイミーは、見てくれの立派さに反比例して、その内面は見窄らしい人物として描かれている。サーセイが感情的であるように、ジェイミーは衝動的であり、思慮の浅い刹那的な人物である。洞察力に欠け、自らの行動によって次にどのようなことが起きるのかを知ることがない。

 シーズン5では、ドーンにいるミアセラが危険にさらされていることを知り、ジェイミーはブロンとともに極秘にドーンのサンスピアに向かう。ドーンに着いたあと、ブロンはジェイミーに訪ねる。

プリンセスを救い出したらどうする

 ジェイミーはこう答える

その時 考える

 その答えを聞いて、ブロンは遠くウォーター・ガーデンズに目をやり、こうつぶやく。

どうりで手もなくなるわな

 この計画性のなさ、行き当たりばったりの性格こそがジェイミーなのである。ブランを窓から突き落としたのも思慮が足りないからである。ブランの口を確実に防ぐのであれば、別の方法を採るべきだった。少なくとも、突き落とした後、死んだかどうかを確認するべきだった。まだ息があれば、止めをさすべきだったのだ。なんと詰めの甘い男なのか。

 思慮のなさは優しさに通じ、心を開いたものには温情を示す。ジェイミーがもう少し世渡り上手であれば、狂王エイリスに理不尽な命令を受けても、自ら王を殺さずに、他の方法で王の狂気を止める手だてを探ることができたのではないか。「父親の首を持ってこい」といわれて激情し、我を忘れたのでろう。

 ジェイミーは優柔不断で何事においても読みが甘く、失敗を重ねていく。サーセイとの間の子供をすべて失って、ジェイミーはサーセイのみを守ろうとするが、必ずしもサーセイが同じ気持ちではないことを知るだろう。その時、ジェイミーはどう考えるのだろうか。ジェイミーはどうするのだろうか。

 ニコライ・コスター=ワルドーはハリウッド映画では遅咲きで、知名度を得たのは、「ゲーム・オブ・スローンズ」でジェイミー・ラニスターを演じてからだろう。「ゲーム・オブ・スローンズ」以後、2013年の「オブリビオン」でトム・クルーズと共演し、2016年の古代エジプトを舞台としたアクション・ファンタジー「キング・オブ・エジプト」では主演(?)している。

 彼は2001年のリドリー・スコットの「ブラックホーク・ダウン」に出演している。墜落したブラックホークのパイロット、マイク・デュラント准尉が生きていることを知り、デュラントを守るために降下した二人のデルタフォース隊員の一人であった。降下したのはランディ・シュガート一等軍曹と、ゲイリー・ゴードン曹長の二人で、ニコライ・コスター=ワルドーはゲイリー・ゴードン曹長を演じていた。

 「ブラックホーク・ダウン」に出演したあと、「キングダム・オブ・ヘブン」にも、エルサレムに向かう途中、ドイツでトラブルを起こしたゴッドフリーを追いかける保安官役を演じた。リドリー・スコットに二回もキャスティングされたのだ。それでも陽のあたる舞台にはなかなか登れなかった。

 その後「ダークソード/処刑人」という映画では主演を演じた。「ダークソード/処刑人」は十六世紀頃のオーストリアを舞台に、司教の落とし子(だったと思うが記憶が定かではない)として生まれ、オーストリア帝国軍の隊長となるものの、故郷に帰り、首切り役人の娘と結婚した男の話である。

 「ゲーム・オブ・スローンズ」ではネッド・スタークの首は、ラニスター家の旗主サー・イリーン・ペインが切り落とす。しかし一般的に西欧では首切り役人は卑賤で差別されている存在であり、罪人の首切りを貴族や騎士が行うことはない。「ダークソード/処刑人」では首切り役人となったが、首切り役人の一家が新教に帰依していたため迫害されるという話である。探せば、まだレンタルショップにあるかもしれない。


◆乱鴉の饗宴 (上) Kindle版
www.amazon.co.jp

◆ニコライ・コスター=ワルドー[Wikipedia]
ja.wikipedia.org


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